校長 大石 英雄

校長挨拶

校長挨拶

上智福岡中学高等学校
校長 大石 英雄

 上智福岡中学高等学校同窓会の創立60周年を迎えられましたことを、心よりお祝い申し上げます。また、卒業生の皆様方には日頃より本学園の教育活動にご理解を頂き、支えてくださいますことに深く感謝申し上げます。

 さて、本学園は今年度より学校法人が上智学院となりました。上智大学、広島学院、六甲学院、栄光学園と法人を同じくし、カトリック・イエズス会教育をさらに深化させていく所存です。単に泰星ということではなく、カトリック教育、イエズス会教育という観点で捉えますと、本校の歴史はずいぶんと昔に遡ります。

 1549年に、一人のイエズス会士が日本を訪れました。その人の名はフランシスコ・ザビエル。ザビエルは日本人と生活を共にする中で、日本人の優秀さ、気高さにとても駕かされます。インドのゴアにあるイエズス会に彼が宛てた手紙にも「この国の人々は今までに発見された国民の中で、最高であり、日本人より優れている人々は、異教徒の問では見つけられないでしょう。」と、書かれています。パリ大学で学んだザビエルは、日本においてキリスト教の布教とともに、日本の都に大学をつくることを夢見ます。しかし、当時は戦乱の世、ザビエルは京の都まで上っていきますが、都は荒廃と化し、朝廷や将軍に謁見することもかなわず、失意のうちに日本を去ってしまいます。ザビエルが日本に滞在したのはわずか2年半でした。でも、キリスト教、カトリックの火は彼によって確実に灯りました。そののち、日本は鎖国、禁教と、キリスト教は表舞台から完全に姿を消し去ります。しかし、その灯は決して消えることなく、細くも強く灯り続けました。

 時が流れ、時代も変わり1913年、ザビエルの意思を受け継いだ3人のイエズス会の神父が日本の都、東京に派遣されます。彼らのミッションは日本の都に大学をつくることでした。これが上智大学です。イエズス会はそのあと、
4つの中等教育学枝の設立母体ともなります。本校もその1つです。秦星、上智福岡の卒業生や、在校生、保護者、そして、教職員である我々との幾多の出会いは、今から450年以上も前にザビエルが日本の地に足を踏み入れた時に約束されたものといえます。

 かつて、ザビエルが他者のためにグローバルに生きたように、現在、本学園も多様性の理解といったところでのグローバル教育に力を注いでいます。「他者のために 他者とともに」生きることができる生徒を一人でも多く輩出したいと願っています。