「24 中学高等学校校長挨拶」カテゴリーアーカイブ

2024年度(令和6年度)校長挨拶 船橋 巌

校長挨拶 上智福岡中学高等学校 校長 船橋 巌

色とりどりの紫陽花の中に佇まれる学園の聖母に見守られて、今朝も元気に生徒たちは登校しております。同窓会の皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

今年度は4月9日に入学式が行われ、81期生163名が森晃太郎神父の祝福と上智大学西澤茂副学長の祝辞をいただき皆様の後輩となりました。緊張も束の間、新入生たちは翌日から始まる唐津での2泊3日のオリエンテーション合宿で「誰もが気持ちよく過ごせるクラスづくり」について、先生の手を一切借りずに全員で話し合い最終日に発表する課題が出されます。すると面白いことに司会を務める人、我先に意見を言う人、意見を上手にまとめる人、大きな模造紙に彩りよろしく絵も交えてきれいな発表用ポスターを作る人など、にわかに一人ひとりの才能が輝きだし、最終日に額に汗して発表するころにはみんなすっかり打ち解けておりました。

6月1日は天気に恵まれ体育祭を行うことができました。体育祭は本校の目指す「より大いなるものを知り、他者に奉仕し、世界の架け橋となるリーダー」を育てる大切な教育の場です。こちらも先生は手出しせず、練習から本番まですべてを生徒に運営させています。目玉の応援合戦は時代とともに変わり、中1ダンス、男女集団行動、パネル、演舞、チアダンスが行われ、しかも演舞、チアダンスは男女の隔たりはございません。100名近い高校指導員が直前10日間にそれぞれの演技指導をする中で縦横の強いきずなが生まれ、今年もよくぞここまでと感心するほど全員が熱中し、先輩後輩が一体となった体育祭を作り上げるまで成長してくれました。

6月10日には隣の動植物園に協力して制作した動物園西門前「おもてなし花壇」の除幕式の様子が地元メディアで取り上げられました。福岡市は花による共創のまちづくりを進める「一人一花運動」を行っており、その拠点となる動植物園と昨年度協定を結び協力させていただいております。これまでも、植物園での「一人一花サミット」にて吹奏楽部が演奏したり、ボランティア生が「一人一花スプリングフェス」にて市役所ふれあい広場にハートの花壇を作りました。今回の花壇のゾウの絵柄は7月に園に4頭来る予定のゾウにちなんで高3の鈴木心菜さんがデザインし、ボランティア生たちが日々水やりや清掃を行っております。

私が本校に赴任した40年前には出来立てのイエズス会修道院に10名を超える神父がおられ教壇に立ってくださっておりましたが、福岡教区で司牧活動をされていたオチョア神父が昨年4月に四谷のイグナチオ教会に転任され今はだれもおられません。そんな中、1932年から続くカトリック学校として、これまで人生をかけて奉職してくださった神父、先生方のご恩を忘れず、この福岡の地で己を愛するが如く隣人を愛する人をこれからも育ててまいります。どうぞ今後とも皆様の母校への一層のご支援とご協力をよろしくお願い致します。

2023年度(令和5年度)校長挨拶 船橋 巌

校長挨拶 上智福岡中学高等学校 校長 船橋 巌

緑豊かな輝国の丘の学園では、3年にわたるコロナ禍からようやく解放され、生徒たちは伸び伸びと毎日の学校生活を送っております。同窓会の皆様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、本校は今年度80期生を迎えました。この4月、912名の志願者の中から選ばれた177名の生徒が元気よく入学し上智大学西澤副学長より祝辞を頂きました。本校は、校名を変更した2011年からの10年を「形づくりの10年」その後2030年までを「醸成の10年」とらえ、教職員一丸となり教育の質のさらなる向上に目下取り組んでおります。お陰様で、10年前は681名であった中学志願者が今回過去最高にまで増え、大学への進学実績も着実の伸びております。学力のみならず人間力をつける学校としての評価がここ福岡に定着しつつあり励みにしているところです。

学校行事は今年度より本格的に再開し、日常が戻るありがたみを日々噛みしめております。全校生がそろっての1学期始業式は現高2生が中1だった時の3学期以来でした。体育祭、文化祭は来場者の限定をせずに済みますし、中3語学研修はセブにて実施する予定です。

学校での学びは、ICT化がこの3年で一気に進み、全生徒が持つクロームブックを活用した授業となりました。さらにはChatGPTなどの生成型AIへの対応も求められる今日この頃です。このような時代にあっても、「地の塩、世の光」となり他者の幸せとより良い世界づくりに貢献する人間を変わることなく6年間かけてじっくりと育てまいります。今後とも皆様の一層のご支援をよろしくお願いいたします。

(2023年6月寄稿)

2022年度(令和4年度)校長挨拶 船橋 巌

校長挨拶 上智福岡中学高等学校 校長 船橋 巌

学園の聖母の周りに紫陽花が色鮮やかに咲く頃となりました。同窓会の皆様におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。本校に奉職し38 年目となる今年度、校長を拝命いたしました。ここ福岡の地で九十年にわたりカトリック校として貢献してきた本校の使命を一層力強く果たせるように精一杯努めさせていただきます。皆様のお力添えを何卒よろしくお願いします。

さて、この4 月、79 期生166 名(男女各83 名)が元気よく入学してまいりました。今年度も上智大学嘩道学長にご来臨いただき祝辞を頂戴いたしました。本校は共学化からこれまでの10 年間、教職員一丸となり教育の質の向上に取り組んでまいりました。お陰様で、学力のみならず人間力をつける学校としての評価が年々高まり、10 年前は716 名であった受験者が、今回の中学入試では892 名に増加し、女子受験者は過去最高となりました。

ところで、2019 年度末からのコロナ禍で、様々な行事の中止を余儀なくされましたが、かえって行事一つ一つの人を育てる力の大きさを再認識することができました。未だコロナの収束が見通せない中でも、今年度からは充分な感染防止対策を講じつつできるだけ実施したいと考えております。幸い、既に中1 は入学式の翌日より唐津にて2 泊3 日のオリエンテーション合宿で仲間作りをすることができました。また、体育祭も、保護者各1名ながらもお迎えして大きく成長した生徒の姿を共に喜ぶことができました。何と今年は演舞に女子も加わりました。夏休み以降は中2 サマーキャンプ、中3 国内語学研修、高1 研修旅行(昨年度できなかった語学研修の代替行事)、高2 修学旅行、文化祭が控えております。無事に実施できることを共にお祈りいただけたら幸いです。

このように、わたしたちは、神から一人ひとりに与えられた固有のタレントを十全に伸ばし、それを自分のためだけでなく、仲間と協力して必要としている人のために使い、一人でも多くの方を幸せにできる人間を変わることなく6 年間かけてじっくりと育てております。今後とも皆様の一層のご支援をよろしくお願いいたします。

(2022 年6 月寄稿)

2021年度(令和3年度)校長挨拶 大石 英雄

校長挨拶 上智福岡中学高等学校 校長 大石 英雄

向暑の候、同窓生の皆様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申しあげます。

さて、この四月、78期生179名(男子88名、女子91名)が元気に入学してまいりました。昨年度の四月はコロナ禍による休校中であったために入学式を執り行うことができませんでしたが、今年度は感染予防を施しながら式の内容も簡略化して行いました。この入学式では上智大学より曄道学長に出席をしていただき、新入生たちに祝辞も述べていただきました。昨年度は、体育祭、文化祭をはじめとしてすべての行事を中止せざるを得ない状況に、生徒たちも教師たちもとても悔しい思いをしました。ですので、今年度は多少形態を変えながらでもできる範囲で実施していこうと考えています。ちなみに、6月上旬には無観客ではありますが、体育祭を実施することができました。

今年度より本校もICT 教育に本格的に取り組み始めました。中1から高2までの各生徒にタブレットを導入しています。授業のあり方や宿題・課題の出し方など少しずつ変化してきています。しかしながら、様々な機器を利用して効率よく授業をすることが、必ずしも生徒の思考力や表現力(発信力)を伸ばすことにつながるとは限りません。生徒の才能を伸ばすということをしっかりと見据えて、教師たちはタブレット等のより良い利用の仕方を研究・開発していく必要があると感じています。

最後になりますが、コロナ禍において上智福岡に対して多くの消毒液を寄付してくださいました45期生の友成氏。57期生の大保氏、また、就学困難になってしまった生徒に対する奨学金としての寄付を50期生の若杉氏ほか有志の方から頂きました。この場をお借りしまして、厚く御礼を申し上げます。

2020年度(令和2年度)校長挨拶 大石 英雄

校長挨拶 上智福岡中学高等学校 校長 大石 英雄

薄暑の候、同窓生の皆様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申しあげます。

さて、2月下旬に政府より新型コロナウイルスの感染拡大により全国の小・中・高に対して休校要請がだされました。それに従い本校では3月2日に卒業式を簡略化して行い、学年末考査をすることもなく翌3月3日に放送による終業式を行いました。その後、緊急事態宣言を受けて、休校が続きまして入学式の中止や体育祭、修学旅行、語学研修の中止など学校行事においても大幅な変更をせざるを得ない状況になりました。休校中、本校の教員たちは在校生に向けての課題作成およびその郵送、また、オンラインでの授業動画を発信するための研修やその準備に追われました。そして、4月下旬より、オンラインによるホームルームを開始し、授業動画ならびに課題の発信などを行ってきました。5月14日に福岡県の緊急事態宣言が解除されたことを受けて、本校は5月25日より分散登校を開始しました。登校初日は、新入生(77期生)に対して、放送による入学式を行い、中2から高3に対しても25日と26日の2日間にかけて放送による始業式を行いました。5月28日から授業の開始となりましたが、6月中旬までは高3を除いて、他の5学年は1クラスを2グループに分けての分散登校としました。現在、密を避けての学校生活や授業を展開しておりますが、確かに教師は生徒たちへ知識は与えることはできますけれども、生徒たちの人間的な成長といったところではとても不安を感じています。なぜなら、それは様々な学校行事や活発なホームルーム活動、部活動といった場で生徒同士あるいは教師とのある種密な触れ合いの中で、互いに影響を及ぼし合いながら育まれるものと考えているからです。とは言え、今は学校としてできうることに最善を尽くすと同時に、コロナウイルスが少しでも早く終息してくれることを祈るばかりです。

5月25日にようやく新入生195名(男子123名、女子72名)を迎え入れることができました。例年通りであれば、入学直後に2 泊3 日のオリエンテーション合宿があり、友達も多く作ることができるのですが、今年はそれもかなわず、皆寡黙に不安そうに登校してきています。友達作りも含め、学校生活に少しでも早く慣れ親しむことができるよう働きかけをしていきたいと思っています。

最後になりましたが、コロナが終息するまでにはまだまだ時間がかかりそうで、厳しい日々が続くと思われますけれども、卒業生皆様方のご健勝と同窓会の益々の発展を心からお祈り申し上げます。

2019年度(令和元年度)校長挨拶 大石 英雄

校長挨拶 上智福岡中学高等学校 校長 大石 英雄

薄暑の候、同窓生の皆様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申しあげます。

さて、今年3月に男女共学2期生となります70期生139名が卒業いたしました。そして、4月には76期生となります176名(男子78名、女子98名)の生徒が入学してまいりました。入学式には同窓会会長をはじめ後援会や上智大学から学長も来賓としてご臨席を賜り感謝申し上げます。一学年の定員は160名ですが、年々女子の入学者数が増加の傾向にありました。そして、ついに今年は女子生徒数が男子生徒数を大きく上回りました。入学当初は女子生徒の多さに圧倒されて男子生徒達が遠慮し、おとなしくなってしまうのではないかと心配でしたが、男子生徒もとても元気のある子が多くいて人数差は思ったほどは感じられないようです。少し安心しているところです。また、職員室の雰囲気もこの数年で大きく変わったように思います。少し前までは男性教員ばかりでしたが、専任、非常勤の教員を合わせて66名のうち22名が女性教員となりました。女性教員の数はこれから先もさらに増えていくことになるでしょう。

先日、長崎県立大学の名誉教授である上田成一さんという方が来校されました。その目的は、上田先生のお父様である上田十米蔵氏が長崎で制作された数々のマリア像を写真に収めるためでした。その一つが本学園のマリア像であるということでした。マリア像の制作過程での写真や、昭和29年5月10日にマリア像建立記念として平尾の校舎で当時の司教様、堤清三校長先生と共に上田十米蔵氏が写っている写真も見せていただきました。建立記念式では本学園がカトリック学校として、「地の塩 世の光」となる人、神様の御心にかなう人を育むことができるようマリア様に願いと祈りが捧げられたものと思います。本学園はその設立母体においても数度の変遷をたどり、外的には大きな変化が見られます。しかしながら、本学園の根底にあるカトリックの理念はその発足当時から何ら変わることなく脈々と受け継がれてきています。正門入ってすぐのところにたたずむマリア様は、これからもずっと本学園を見守り続けてくれるものと思います。

2018年度(平成30年度)校長挨拶 大石 英雄

校長挨拶 上智福岡中学高等学校 校長 大石 英雄

薄暑の候、同窓生の皆様におかれましてはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

さて、今年3月に男女共学1期生となります69期生が卒業いたしました。そして、4月には75期生なります175名の生徒が入学してまいりました。卒業式や入学式には同窓会長をはじめ後援会や上智大学からも来賓としてご臨席を賜り感謝申し上げます。校名変更や男女共学化にともないまして、本校ではグローバル教育の実践に取り組んでまいりました。その一つとしまして、従来、中学3年生時に行っていました京都・奈良への研修旅行を廃止し、その代わりにオーストラリアのブリスベンに10日間の語学研修を設けました。現地では生徒全員が一人だけでホームスティを行います。また、午前中はシャフストーンカレッジでクラスに分かれてみっちりと英語教育を受けます。

この研修期間には、ブリスベンに在住しています44期生の植松さんが毎回生徒たちに貴重な話をしてくださってとても助かっています。

また、この語学研修は11月に実施していますが、その事前準備として、毎年8月上旬に上智大学英語学科の学生たち20名が本校を訪れ、朝から夕方まで使える英語をレッスンしてくれています。本校ではこういったところでも高大連携が活かされています。

一般的にグローバル化といえば経済的側面がクローズアップされがちですが、本校におけるグローバル教育は単に競争力を身に着けるためだけのものではありません。「他者のために 他者とともに」の精神に従って、社会的弱者に寄り添いながら、人と人、国と国、そして世界の懸け橋となるリーダーの育成を目指すものです。同窓生の皆様におかれましては、今後も本校の発展をお祈りくだされば幸いに思います。

校長挨拶 大石 英雄

校長挨拶 上智福岡中学高等学校 校長 大石 英雄

 初夏のまぶしい日差しの中で、本学園の校舎もより一層明るく感じられる今日この頃、同窓会の皆様におかれましても益々ご鍵勝のことと思います。

 さて、本学園は今年で創立85周年を迎えます。80周年の節目に男女共学を開始し、今年度74期生の入学で6学年すべてが共学となり、学校の雰囲気もまた大きく変わりました。6月に開催された体育祭では、本校の伝統となっています応援合戦の中で、男子の勇猛な演舞に加え、今年から女子のチアダンスが行われました。満面の笑顔でチアガール達が華やかなダンスを披露してくれて、とても盛り上がりました。

 教学面では新しい取り組みとしまして2年前よりStudies For Others(S.F.O)という研究単位(授業)を立ち上げました。国内外の様々な地域における貧困問題を調べ、その解決策を模索する取り組みが中1から年次進行で6年かけて行われています。各学年のテーマは、仲間作り・協働力(中1)、表現力。発信力を身につける(中2)、環境問題・エネルギー問題を考察する(中3)、貧困問題の解決に向けての具体策を検討する(高1)、模擬国際会議等を通して交渉力を身につける(高2)、今までの取り組みを踏まえMy
Missionを英語でプレゼンテーションする(高3)、です。男女共学となった今、男子も女子もそれぞれの特徴を理解し、認め合い、協働しながら、一人一人が大きく成長していくような機会をより多く与えることができればと考えています。

 最後になりましたが、同窓会総会の当日は、午後3時より同窓生のための学校見学会を予定しています。新しくなった校舎や生徒たちのクラブ活動の様子などを見学して頂けたらと思っています。ご来校をお待ちしています。

平成27年6月

学校法人 秦星学園
上智福岡中学高等学校
校長 大石英雄

校長挨拶 大石 英雄

校長挨拶

校長挨拶

上智福岡中学高等学校
校長 大石 英雄

 上智福岡中学高等学校同窓会の創立60周年を迎えられましたことを、心よりお祝い申し上げます。また、卒業生の皆様方には日頃より本学園の教育活動にご理解を頂き、支えてくださいますことに深く感謝申し上げます。

 さて、本学園は今年度より学校法人が上智学院となりました。上智大学、広島学院、六甲学院、栄光学園と法人を同じくし、カトリック・イエズス会教育をさらに深化させていく所存です。単に泰星ということではなく、カトリック教育、イエズス会教育という観点で捉えますと、本校の歴史はずいぶんと昔に遡ります。

 1549年に、一人のイエズス会士が日本を訪れました。その人の名はフランシスコ・ザビエル。ザビエルは日本人と生活を共にする中で、日本人の優秀さ、気高さにとても駕かされます。インドのゴアにあるイエズス会に彼が宛てた手紙にも「この国の人々は今までに発見された国民の中で、最高であり、日本人より優れている人々は、異教徒の問では見つけられないでしょう。」と、書かれています。パリ大学で学んだザビエルは、日本においてキリスト教の布教とともに、日本の都に大学をつくることを夢見ます。しかし、当時は戦乱の世、ザビエルは京の都まで上っていきますが、都は荒廃と化し、朝廷や将軍に謁見することもかなわず、失意のうちに日本を去ってしまいます。ザビエルが日本に滞在したのはわずか2年半でした。でも、キリスト教、カトリックの火は彼によって確実に灯りました。そののち、日本は鎖国、禁教と、キリスト教は表舞台から完全に姿を消し去ります。しかし、その灯は決して消えることなく、細くも強く灯り続けました。

 時が流れ、時代も変わり1913年、ザビエルの意思を受け継いだ3人のイエズス会の神父が日本の都、東京に派遣されます。彼らのミッションは日本の都に大学をつくることでした。これが上智大学です。イエズス会はそのあと、
4つの中等教育学枝の設立母体ともなります。本校もその1つです。秦星、上智福岡の卒業生や、在校生、保護者、そして、教職員である我々との幾多の出会いは、今から450年以上も前にザビエルが日本の地に足を踏み入れた時に約束されたものといえます。

 かつて、ザビエルが他者のためにグローバルに生きたように、現在、本学園も多様性の理解といったところでのグローバル教育に力を注いでいます。「他者のために 他者とともに」生きることができる生徒を一人でも多く輩出したいと願っています。

校長挨拶 大石 英雄

校長挨拶 上智福岡中学高等学校 校長 大石 英雄

 初夏のまぷしい日差しの中で南公園の緑も一層色濃くなってまいりましたが、同窓生の皆様におかれましては益々ご清栄のことと存じます。

 さて、この4月に72期生173名(男子106名、女子67名)が入学してきました。共学生も高校1年生まで進み、学校の様子も随分と変化して参リました。校名変更から5年目を迎え、泰星として最後に入学してきた67期生も高校3年生となりました。

 校名変更に伴い、教育内容も少しずつ変わってきています。特に英語教育につきましては、従来の大学受験に特化した英語教育から、英語によるコミュニケーション能力を高めるぺく、読む・書く・聞く・話すといった4技能をバランス良く習得できるものへとなっています。また、グローバル化の時代に生きる生徒たちのために、思考力・判断力・表現力を主とするいわゆる活用力を身につけさせるために、新たにS・F・O(Studies
For Others)という教科を今年度より立ち上げました。この教科及び研究のねらいは、国内外の貧困問題をテーマに取り上げ、キリスト教ヒューマニズムを土台とし、「貧困のない平和な世界作りに叡智で挑むグローバルリーダー」の育成を目指すものです。貧困問題は、決して容易に解決できるものではありませんし、もしかすると答はないのかもしれません。しかしながら、それを阻害するあらゆる要因を分析し、国や地域を越えてよリ多くの人だちとの協働により、今できる最善の一歩を踏み出すといった経験は、これからの時代においてとても必要とされる素養の一つになり得るものと考えます。

私たちが携わる中等教育の使命は、当然ながら時代や世の中のニーズに応えるといった側面を有していますが、上智福岡はどのように世の中が変化しても決して変わらないもの、キリスト教の隣人愛に基づく教育を、着実に行っていかなければならないと思っています。

 最後になりましたが、卒業生の皆様のご多幸と、泰星学園同窓会の益々の発展をお祈りいたします。

平成27年6月

学校法人 秦星学園
上智福岡中学高等学校
校長 大石英雄